はびより

ご飯と写真とコーヒー好きの日常

肉にはしっかり火を通した方が良いという話

その日僕はいつものように台所へ立った。1ヶ月ほど前のことだ。

人と外食へ行き「何食べたい?」と聞かれれば、馬鹿の一つ覚えみたいに「ハンバーグか唐揚げか親子丼」と答える。もちろんこのとき相手から、『そういうやつじゃない』と思われていることは重々承知だ。

さて、この中で自宅でも手軽に作れるものは『唐揚げ』と『親子丼』だろうか。人によってはハンバーグも簡単に作ってしまうのかもしれない。

 

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僕にはお気に入りの唐揚げ粉があって、まれに醤油とにんにくを使って1から味付けすることもあるが、大半は唐揚げ粉にまかせてしまう。粉と水を1:1で混ぜ合わせ、鶏肉にからめて揚げるだけでおいしい唐揚げが出来てしまうから実に便利だ。その日はあいにく鶏肉を切らしており豚の小間切れ肉を使ってみることにした。これはもう唐揚げでは無い気がするが、貧弱なレパートリーしか持たない一人暮らし男性にとってこういった柔軟性は必要不可欠。いつものように粉と水を混ぜ合わせ、小間切れ肉にからめた後、油を1センチほど敷いたフライパンに投入し揚げ焼きしていく。鶏肉ならば中まで火が通っているか気にかける唐揚げも、今回は薄くペラペラした豚こまだ。両面がキツネ色になれば全く問題ない。
慣れた手つきで焼き終わると、皿に盛り付け夕飯スタートである。一口食べてみると当然のごとくいつもの唐揚げ味。豚肉の食感も悪くない。気になることと言えば少し衣がねちゃついていることぐらいだ。確かに「あれ?」という疑問はあった。しかし肉が赤いままになってる部分は見当たらないし、基本的にはサクサクしてこうばしい。きっと問題ない。生焼けなんてありえない。僕は自分に言い聞かせてそのまま食事を終えた。
1時間ほど経っただろうか。僕のお腹が痛みはじめるのにそう時間はかからなかった。そしてすぐに気づき、後悔した。
 
「さっきの豚肉だ。やっぱり焼けてなかった」
 
今考えてみるとまわりの衣部分がねちゃついていたら、それよりも内側にある肉部分に火が通っていないのは当然である。
ここから30分おきにトイレへ駆け込む生活がはじまる。24時間続く。高熱にうなされる。歩けない。もちろんこの”30分おき”というのは寝ている間も例外なく襲ってくる。要するに眠れない。結局発症してから36時間経ってもいっこうに症状が改善しないことに痺れを切らした僕は、病院へ行くことを決意した。薬をもらってからは快方へ向かった。
 
あの日以来、あんなに好きだったあの唐揚げ粉は使っていない。