ある日の仕事帰り。
僕は百均に行きたくて、人混みの中タブレットとにらめっこしながら道に迷っていた。
特に急いでいたわけでもないのでのんびりお散歩気分でお店を探していたのだが、そんな僕に声をかけてくる男性が。
「Excuse me.」
振り返ると、20代ぐらいのシュッとした外国人男性が僕の目をまっすぐに見ていた。
「Do you speak English?」
ガイドブックのようなものを片手に僕に見せてきたページには、ドン・キホーテが写っていた。どうやら道を教えて欲しいらしい。
[こ、こいつ…。タブレットに地図を表示させてきょろきょろしながら歩いている俺に、道を尋ねようとしているのか!?なぜ俺だ。何なら今俺が道に迷っているんだぞ。なんでこれほど人があふれている渋谷でこてこての日本人顔の僕に。そして何なら10人に1人ぐらいは外人が歩いてるじゃないか!]
ふと後ろの方に目をやると、その道を聞いてきた男性の弟らしき男の子と、お母さんらしき女性がとんでもなく分かりやすく疲れ果てた表情でこちらを見ていた。
おそらく家族で観光に来ていて、道に迷い歩き疲れていたのだろう。ここで僕が中途半端に手伝って余計に迷おうものなら、逆に迷惑をかけてしまう。もちろん英語力だって中学生に負ける自信がある。
僕は答えた。
「俺にまかせろ。」
まずは確認だ。
ハ「ここ(本のドンキを指さしながら)に行きたいの?」
外「Yes!」
ハ「ちょっと待ってて」
タブレットでドンキを検索して地図で確認する。それほど遠くはなく、今いるところから5分ほどで行けるようだった。
ハ「オッケー。一緒に行く。あっち。オッケー?」
外「Oh! Thank you.」
ちなみにここで地図に表示された道順が大通りではなく結構細い道をうねうね行く感じで、案内しながら自分が道に迷う可能性が全く解消されなかった。
早速案内する。
初対面の外国人一家と5分も何を話せばいいか迷ったが、話しかけてきた男性以外は疲れすぎているのかすごい後ろの方からついてきていて、会話する元気は無いようだった。好都合だ。
いきなり信号待ち。
ハ「4 minutes!」
外「Ok.」
これが今回僕が使った唯一の英語だ。
その後、道中の8割がラブホ街で道がうねってるしで全く心休まらなかったんだけど、なんとかたどり着くことができた。ドンキの看板を見つけた時の安堵感といったらもう。。
ハ「ここ!ドンキ!これ!」
テンション高い。
外「Oh! Thank you! アリガトウゴザイマス。」
母「Thank you.」
弟「Thank you.」
テンション低い。
いやなんか俺が一番到着に喜んでるじゃねーか。
まぁお兄ちゃんはすごく喜んでくれてて、案内したかいがありました。
僕もテンション上がっててお別れする時、
ハ「Oh Yeah! Have a nice day!」
みたいな感じだったんだけど、実際には
ハ「じゃ!また!」
って言ったと思う。
その後無事に百均にも行けて、怒涛の一日が終わった。
そして今回分かったことが1つ。
英語よゆー。